人より少し大きく生まれたこまめは、人より少し歩くのが遅く、人より少し言葉も遅かった。
身体が少し大きかったので、歩くのに必要な筋肉の発達が追いついていなかったのだと思う。当時、毎日のように近所の芝生の公園に連れて行っては、両手を繋いで歩く練習をしたのだけれど、疲れてしまうのかすぐにぺたりとお尻をついてしまっていたっけ。
それだけ苦労をして(させて)いたのに、歩けるようになった時のことはよく覚えていない。それは記憶に残るようなドラマチックな出来事ではなくて、気がついたらいつの間にか歩けるようになっていたのだと思う。あの時のこまめに必要だったのは、100の練習ではなくて、少しの体の成熟だった。
一方、初めて「ママ」「マンマ」以外の単語を口にした時のことはよく覚えている。当時こまめは、もうすぐ2歳半になろうかというのに、「ママ」「マンマ」くらいの単語を2、3口にするだけだった。*1
歩行の遅れのこともあり、発達について少し心配していたある日。こまめを連れて、大宮にある鉄道博物館に行った時のこと。2階の大きな窓から、隣接する線路を行く京浜東北線や埼京線や貨車を見て、興奮しながら必死に何かを言っている。
「…シャッ、…シャッ!」
「?」
「デンシャッ!デンシャッ!」
「!?!?」
電車って言ってる!パパよりも先に電車って言ってる!!*2もう嬉しいやら可笑しいやら。その後、はじめての二語発話もやっぱり電車関連で「デンシャ、イター」だった。
人より少しだけゆっくりなこまめだけれど、人の予想のナナメ上を行く行動と、やる気になったら諦めない心が、かけがえのない取り柄だと思っている。人と少し違うというのは素晴らしいことだ。このまま、これらの長所を大事に成長していって欲しい。
この話を思い出したのは、先日公園で待ち合わせしたこまめから、こんなメールが来たから。
急に言語を獲得してる!しかも絵文字まで使ってる!(でも何でタコ?)