METの100年を超える歴史の中で、この作品が最も多く上演された作品なのだとか。
Why the Same Few Operas Seem to Be Staged Over and Over - Brian Wise
僕もこの作品はとても好きで、昔一度だけピットに入ってこの作品を演奏させていただいたのは、僕の音楽体験の中でも最高のもののひとつとして今でも時々思い出すことがあるくらい。(おなじくらい、うまく弾けない恐ろしい思い出、下手なのに弾かせていただいた恥ずかしい思い出としても思い出される)
観客として生で触れるのは今回が初めて。 黙役のダンサーたちが、時にネコのように振る舞ったり、時に黒子のように舞台進行を手伝ったり。個人的に、台本にない黙役にあまりいい記憶がないので少し心配していたのだけど、決して干渉を妨げるようなものではなく、杞憂で済んでよかった。
全4幕の内、1・2幕は続けて上演。ステージの特性上緞帳がないので見せる場面転換が必要となるが、ピエロとダンサーたちがうまく場を繋いでいたと思う。
演奏について語る言葉を持たないけれど、ピットが浅いこともあってかオーケストラが雄弁。それでいて歌手を妨げるようなものではなくて、さすがとしか。後で知ったのだけど、字幕がちょっとクセがあるなぁと思っていたら、指揮者本人によるものだとか笑
井上道義さんは今年いっぱいでの指揮活動からの引退を表明しており、ワタシが彼の演奏に生で触れることができるのはこれが最初で最後。
会場の隣のブースでは、指揮者井上道義さんの幼少時から現在に至るまでの軌跡を辿る写真展が併催されていて、一見の価値があった。チェリビダッケとのツーショットや、小澤征爾さんのことを「目の上のタンコブ」と呼ぶ若き日のハガキも笑
幼い通義少年の成長の過程を写真で辿ると、自分より遥かに年上の方なのに、まるで親戚の子の成長を眺めるような気分になり、なぜか目を細めてしまう謎。
配役は以下の通り。
ミミ:ルザン・マンタシャン
ロドルフォ:工藤和真
ムゼッタ:イローナ・レヴォルスカヤ
マルチェッロ:池内 響
コッリーネ:スタニスラフ・ヴォロビョフ
ショナール:高橋洋介
ベノア:晴 雅彦
アルチンドロ:仲田尋一
パルピニョール:谷口耕平
ダンサー:梶田留以、水島晃太郎、南帆乃佳、小川莉伯
合唱:ザ・オペラ・クワイア
世田谷ジュニア合唱団
指揮:井上道義
演出: 森山開次
以下座席について備忘メモ。
今回の席は3階の後ろの方。舞台は遠いけどちゃんと全体が見えるし、音もそんなに悪くない。指揮者は全く見えなかったけど、今回はピットなので仕方なし。
ただ、通路足元の誘導灯が常に目に入って眩しいのはちょっと困りものかな。